渓流釣り日記
私は、渓流釣クラブ「竿名会」に所属しており、その釣りの成果や魚拓を紹介しています。
このページをみて、渓流釣りに興味をもっていただければと思います。
山深き蒼き泉に身を潜め光あやつる白き岩魚か 谿泉
源流のイワナは、エサが少ないので蛇まで食べてしまう。蛇を食べて腹一杯のはずが、まだエサに飛びついてくるのがすごい。
ハナビラタケと岩魚
釣りにいった帰り道にハナビラタケを見つけた。
何でも深い山にしかなく、ガンに効くといわれている大変めずらしいキノコだそうだ。
痩せ岩魚長き冬耐え食らいつく命をつなぐぶどうの虫に 谿泉
トンボ舞い仲間の集うキャンプ場イワナ塩焼き栗きのこ汁 谿泉
源流の滝壺で幻の大イワナを釣る 2012年9月8日 谿泉
伝えきく滝壺に棲むまぼろしの
巨大魚さがし獣となりぬ 谿泉
「幻の大イワナ」
「幻の大イワナ」は、昔しマタギをしていたというおじいさんから聞いたことがあった。熊を求めて山深く入り込んだ滝で、崖から落ちた蛇が泳いでいたら突 然に水しぶきが上がり水底に吸い込まれたと言うのだ。頭に苔が生えているような大イワナであったとか。その滝のだいたいの場所を聞いて出掛けたのだった。 場所は公開できないが、そこはロープがないと降りれない人を拒絶しているような急峻な谿底にある滝だった。
昼でも暗いその滝壷は、水煙が霧のように漂い苔むした巨石に囲まれていていた。底が見えないその滝壷の深さはどれぐらいあるのか分からないが、瑠璃色の水 面が大きく渦まいていた。まるで龍神がいるような神聖な場所である。この地に人が踏み込んだことがあるのだろうか・・・。
大物釣りの作戦
大物がかかっても切られないように、竿に1.5号のハリスをとうしで使用した。エサはドバミミズだ。水深がありそうなので道糸は竿より長い8mという作戦で望んだ。鉛を重くし滝壺に落としたその瞬間、糸は落ち込みの反対方向に引きずり込まれていった。そして竿は音をたて折れそうにわん曲した。もしかしてとは思っていたが本当に「幻のイワナ」は実在したのだ。焦りとともに足場の急斜面から落ちそうになる。
この滝壺は深いが、そう広い場所ではなかったので竿を手放した、折られないためである。急いで崖から滝壺の下流に移動し、竿が浮かんで来るのを少しの間待つことになる。やがて竿は ゆらりと浮かんだ。その竿を拾い、祈るように引いてみると、石にも引っかかったようにびくともしない。逃げられたかと思った瞬間にゆっくりと糸が移動して いるではないか・・・心臓が大きく高鳴る。
滝壺は逃げ場がないので長期戦に持ち込んだ。竿を何回もなんかいも引いては切られそうになると手放した、そしてまた浮かんできた竿を拾う。1時間以上も経ったであろうか、水面に銀色の魚体が映った。何という巨大な魚であろう、正にこの「イワナ止めの滝」の主ともいえる大イワナであった。そして何時間かけ ても絶対に釣りあげてやると思った。ただ、もし針が浅くかかり外れてしまったら・・・という思いが頭をかけめぐる。
「幻の大イワナ」のままで
それほどの時間をかけても中々釣り上げれそうもなかった。だがこの大イワナも疲れてきたのだろう底に引込むことをしなくなってきた。そこで意を決して近くの浅瀬に寄ったとき水に飛び込み強引に両手を使い岸に放り投げた。そして押さえ込んだ。なんという大きさだ、こんな怪物みたいな大イワナにはもう二度とめぐり会えないだろうと思った。
釣りあげた興奮から醒めてくると、あれだけいつも大物おおものと騒いでいた私なのだが、この大イワナだけはこの後もここに棲んで居るべきではないかと考えた。
記念の写真を撮り終え、まだ元気なうちにとリリースした。釣り仲間に話しても誰も信じないような「幻のイワナ」、60センチ以上もあったろうか。メージャーも無かったし、魚籠にも入らないサイズであった。
私が所属している「釣り俱楽部・竿名会」では年間をとおしての「大物賞」は、魚拓をとるのが約束事なので、今年もまたもらうことができないだろう。そしてまた「ホラの山本」と言われるだろう。だがもう大物賞なんかどうでもいいと思った。
私だけが知っているあの滝壷で、大イワナは今もきっと何ごとも無かったようにゆったりと泳いでいるだろう。それを思うだけで私は満足だ・・・。
過ぎ去りし後悔の日々
などと、かっこよく考えてリリースしたものの、帰り道ものすごく後悔した。あれほどの大イワナを持って帰ったら釣り仲間はきっと目をむいてビックリしたに違いない。魚拓か剥製にでもして、酒を一杯呑みながら毎日眺めるによかった。
死ぬまで威張れたのに、などとくよくよ考えた。やはり私は聖人君子にはなれない。
せめての救いは、「しるばにあっぷる」の記事にしようと写真を撮っていたことだ。これを見たらきっと皆んなは納得するに違いない・・・と思う。
伝えきく滝壺に棲むまぼろしの
巨大魚もとめ獣となりぬ 谿泉
渓流で会ったお友達
姫鱒の燻製
ヒメマス(雄)
昨年初めて十和田湖で姫鱒を釣った、しかも40センチオーバーのビックサイズ。9月で赤い婚姻色になっていた。2011年9月
ヒメマス薫製
上の姫鱒をスモークしたらこうなった。
「姫鱒釣りにはまった瞬間」
激しい抵抗の後、白い魚体が見えた瞬間。釣針から外れてしまわないか緊張する。
十和田湖の姫鱒釣りの魅力は絶景の景色にもある。春夏秋冬のそれぞれの船から見る景色は素晴らしい。十和田湖を我がものにした感がある。
また、姫鱒は実にうまい。刺身にしても焼いても川魚特有の泥くささもない。一度食べたらそのうまさが分かる。
姫鱒釣りの師匠・鳥谷部保さん。2011年に十和田湖で桜鱒の60センチオーバーを釣る。刺身にしたのを食べさせてもらったが、絶品で舌がとろけそうとはこういうのを言うのだろう。
鳥谷部さんは、十和田湖にボートを所有していて釣りシーズン以外でも女性は特に優しく湖を案内してくれる。紅葉の時季はボートからの眺めは最高。髪は少ないが私より若いし、マージャンも強いとのこと。東北巨木調査研究会の理事をしている。
春
そらみみか小鳥のさえずり滝の音 竿の手入れす解禁前夜
初春の残雪踏みし釣りはじめヤマメ数匹 フキノトウ摘む
まぼろしといわれし姫鱒るり色の水面をはねて釣り人の針
夏
苔むして走る清流ぐぐぐっとしなる竿先イワナの引きだ
山深き蒼き泉に身を潜め光あやつる白き岩魚か
つり針で命うばわれし渓谷のイワナ悼むか鳴くホトトギス
秋
トンボ舞い仲間の集うキャンプ場イワナ塩焼き栗きのこ汁
赤い実のなる一枝を空缶に月の光に飲むイワナ酒
伝えきく滝壺に棲むまぼろしの巨大魚さがし獣となりぬ
冬
安家川源流に釣りしこのイワナさくらチップの香りをそえて
痩せ岩魚長き冬耐え食らいつく命をつなぐぶどうの虫に
歳暮にと煙で燻せし山の幸 岩魚・山女に青笹敷いて